「アルジャーノンに花束を」


初読は青春時代真っ盛りの17歳ぐらいだったと思います。

自分はヒムロックの1stソロアルバムのタイトルに使用されたのを機にこの本に出会いました。
(ミーハーですみません)

多感な年頃だった為か、当時、夢中になって読みふけり
一晩で読了しました。
翌日は早速、学校で友達にすすめたぐらいでした。

作者はダニエル・キイス。
残念ながら昨年に他界されましたが、この本をきっかけに
その後も発表された他の作品、「五番目のサリー」や
「24人のビリー・ミリガン」等も読みました。
日本でも2002年にユースケ・サンタマリアさんが主演し、
2015年でも山下智久さん主演でドラマ化もされたので、とても有名な作品だと思います。


作中でチャーリイは、僕たちが十数年かけて得るさまざま経験をあっという間に体験していきます。

それまで知らなかった事。
見えていなかった事。
新たに学ぶ、この世のしくみ。

しかしながら、それらを知る喜びもつかの間、
急速に飛躍的に発達した知能にくらべ、成熟していない精神には
それらの事柄はチャーリイに様々な苦痛を与えていくようになるのでした。

いわゆる有名なラスト1行よりも僕はチャーリイの苦悩する姿、
および体験していく数々の事柄に胸をうたれました。

アリス・キニアン先生への尊敬→友情→愛へ心情の変化
さらに葛藤と別れ。

幼い頃別れた父・母・妹との再会とそして再びの別れ。

そのどれもが胸を深くえぐるような痛みを覚え
いつしか自分自身へと重ね合わせて読んでいました。

最後までその運命に抗おうとするチャーリイ。
しかしながら、それは無情にも叶いません。

底の抜けたバケツから水がこぼれていくのを止められないように。

手術前に通っていた学校に間違って行ってしまい、かつて愛しあったアリスの前で
「キニアン先生、僕はまた学校でみんなと勉強したいです。ですが教科書をどこかに無くししまいました」
チャーリーのその姿に耐えきれず、泣きながら教室を飛び出したアリスに気付き
いよいよ自分の運命に抗うことが出来ないと悟ったシーン。。

恥ずかしながら泣きました。



その後、専門学校に進学していた僕は
ある日、友人とこの本の話しになりました。
次作の「五番目のサリー」と
この「アルジャーノンに花束を」のどちらが好きか。

友人は「五番目のサリー」を推しましたが、僕は断然「アルジャーノン~」でした。

たしかに「五番目~」の方がラストは分裂していた人格が一つになった主人公の女性が、彼女を担当する精神科医の先生と結ばれ、これまで失っていた人生を取り戻すように、今後の幸せへの扉を開けていく。。。
このような物語りの締めくくりだったと記憶しています。

それに比べ「アルジャーノン~」のラストはなんの救いのないお話しかもしれません。
しかしながら「アルジャーノン~」でのチャーリイの物語りには、その悲しいラストに囚われることなく心を打たれ続けてきました。

あれから僕自身も社会人として歩みをつづけ、これまでに曲がりなりにも様々な経験を積み重ねてきました。
その折ごとにこの本を読み返したり、また、周りの友人・知人に贈ってきたりしました。
電車のなかで読んでいると今でも泣きそうになります。

しかし現在、この年齢になって長年連れ添ってきたチャーリイを卒業して、サリーと友達になりたいとも思うようになりました。

それでも『どちらの本が好き?』と聞かれれば・・・
僕は迷うことなく今も『アルジャーノンに花束を』と答えるでしょうけど。。。。


2014年に天王洲銀河劇場で上演されていた浦井健治さん主演の舞台も観に行きたかったなぁ。。


僕もいつか、なにか人の心に残る文章を書いてみたいものです。
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