新しい書店のカタチ


町の小さな本屋さんが少なくなってしまったのはいつのことだろう。

 

新刊と雑誌と参考書、それに店主好みの本がひっそりと置かれているような書店だ。

小説の翻訳ものが意外とそろっていたり、歴史物がずらりとあったり。


むかし住んでいた町には小さな商店街に23件書店があった記憶がある。それとは別に、駅の近くにもう少し大きいものが2件。片方は文具店を兼ねていた。夏、学校帰りに友人と涼みに入り、よく立ち読みをした。そういえば商店街の中の一軒は貸本屋だった。マンガを借りに行ってたが、子どものころになくなってしまった。


お気にいりだった書店は、児童書があるところだ。狭く奥に深い店内は、真ん中が背合わせに書棚になっていて、あとは左右の壁に高くまで本が詰まっていた。店主はまるで銭湯の番台の人みたいに、入口の中心にいてぜんたいを見渡していた。目当ての『ナルニア国物語』は、少しだけ高めの本棚に並んでいて、毎月1冊ずつ、お小遣いから買っていった。早く次が読みたくて、売り切れていないか、ドキドキしながらガラスの扉を開けた。


電車に乗って行くひと駅先の大きな書店は、好きな本を買っていいよ、と言われたときに出かけていく場所だ。

コーナー別にジャンルが分かれていて、あっちにいったり、こっちにいったり、迷いながら本を探すのは楽しいことだった。


町の書店 海外

 

こうやって思いだしてみると、ネット書店の限界が見えてくる。


持って帰るのは重いし、古書で安く買えたりするので利用するが、それは「この本下さい」というタイプの本に限られる。おススメの本が並んでいたりもするが、別のコーナーにふらっといったり、その途中にある、みたこともないジャンルの本の表紙に惹かれて、手に取ってみたり、ということはできない。探検の楽しさに欠けている。大型書店はそれもできるが、場所も遠く、広すぎて今度は戸惑ってしまう。

そんな現代に合わせて、個性的な小さな書店ができ始めた。

噂を聞いて会社から近い「かもめブックス」(神楽坂)に行ってみた。


かもめブックス


入口にカフェがあって、その右側から奥にかけてが書店、一番奥にギャラリーがある。

コンパクトだが、個々の本棚にテーマがあり、棚ごとの本には共通のみえない繋がりが見えてきておもしろい。こんな本があったんだ、というくらい個性の強い本だけれど、全体にテーマがあると自然に手に取れる。そして一冊みると、つい、あ、こっちのもおもしろそうと、手にとってしまう。こういう書店が家の近所にあったらついつい買ってしまいそうだ。毎日飽きなくていいな、と思う。


時代と一緒に本も書店も変わっていく。もっともっと個性を打ち出していってもいいのかもしれない。人の手が加わることでしかできないことは必ずあるから。


本作りも、書店も、そういった意味で同じだろう。私たちにしかできないことを、しっかりと守って行けたら、この書店で本を手にしながらそう思った。


 (写真は「かもめブックス」)

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