友人が独立してレストランを持つことになりました。
昔から食にかかわる仕事をしたい、といっていたので、本当に夢をかなえたんだね、と
友人たちとお披露目パーティに出かけて行きました。

お店に着くと、シンプルでモダンな店内は特別な用意がある感じではなく、
一カ所大きなテーブルがあり、あとはテーブルとイスが島状に何カ所かに置いてあります。
見渡すと、みなさんカウンターからお酒を受け取って飲み始めています。

そんな感じで挨拶もないままパーティは始まりました。

突然、主役が料理人の恰好のまま正面に現れました。
司会者もいないし、乾杯の挨拶をする人もいません。
明らかに痩せてかっこよくなった主役は、「えー、自分でですが…乾杯!」と言いながら、
「お料理が次々と出ます。全員分あるかわかんないので、どんどん食べてください!」
と笑顔でいい、また厨房へ引っ込んでしまいました。

少し経つと大皿が2皿ずつ運ばれてきました。
シチューやカレー、パスタ、フランスパンのサンドウィッチ、ets…
それらが各数種類ずつ、どんどん運ばれてきます。
そのお味は…
感動的に美味しい!!
なんというか、深く、そしてフルーティーで、これまでにない味です。
どれひとつをとっても、気が遠くなるような時間をかけて、
ほぐしたり、刻んだり、煮込んだり…その姿が浮かんできます。

以前職場が一緒だったという方と同席しました。
時々このような料理を作っては、みんなにふるまっていたようです。
その時によく言っていたのは、
「美味しい食事でおなかいっぱいになってほしい」
とのこと。

そうなんだな、と私はすっと謎が解けました。
今日のパーティはイベントではないんです。
よりたくさんの人におなかいっぱいに美味しい料理を食べてもらって、
満腹して、感動して、帰っていただきたい。
そしてときどき思い出して、また通ってほしい。
その気持ちが伝わってきて、じんと熱くなりました。

お料理でも本でも、どのジャンルでも同じだな、と私は思いました。
「伝えたい気持ち」を伝えるためには、あれもこれもではだめなんです。
大切な部分をいかに育てて伝えるか。
そして思いだけでもだめで、確実に届けるために、人の助けも必要です。
一見地味だけれど、下ごしらえを一緒にしてくれる人、味見をしてくれる人。
お料理の盛り付けをしてくれる人、運ぶ人、
テーブルをセットしたり、お酒を出してくれる人、ライトを灯す人。
そういう裏の仕事こそ、本を作るときの私たちの仕事なのだ、と実感しました。

「伝えたい気持ち」が「伝えたい人」に届きますように。

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